これまでとは逆の発想でクリニック設計驚きと発見を演出したガーデンクリニック
26年間、マンション2階で開業していたクリニックが、2016年9月1日、道を挟んで向かいの広い空間に移転した。
そのクリニックは、まさにガーデンだった。
来院することを楽しみにして欲しい
これまでの歯科医院のイメージを覆すクリニックが誕生した。その名も城彩会歯科ガーデンクリニック。なぜガーデンなのか、院内に入ってその意味が理解できる。
「診療室は完全個室で16部屋あり、1階はオペ室含めて7部屋、2階は9部屋です。しかも各ブースデザインを和風や洋風などすべて変えています。また、診療室の間には吹き抜けの中庭を設けて、院内に居ながら四季を感じられる設計にしました」と院長の本城裕也先生。
一般的な歯科医院だと、空間を合理的に設計して無駄を排除しようと考える。ところが、城彩会歯科ガーデンクリニックの場合はすべての発想が逆で、動線は長く、個室すべてのデザインを変えるなど、あえて不合理だと思われる設計をしている。
「アミューズメントパーク的な設計思想です。中庭を多用したのは室内でも外の空気を感じて欲しい。個室デザインをすべて変えたのも、患者さんに来院のたびに新鮮な驚きと発見を感じてもらい好みの診療室を見つけてもらう発想からです」と本城先生。歯科医院のイメージを変えて、来院を楽しみにして欲しいからだと語られる。
プランメカ社のGコンパクトiタッチを15台導入
院内の廊下は開業医院としては極端に長い。「診療室が並ぶ各フロアの廊下は30m近くあります。この長さも患者さんが歩いて四季を楽しむための動線です」と本城先生。スタッフと患者さんが歩きながら世間話をしてリラックスの時間になる。
オペ室のユニットも含め、プランメカ社のGコンパクトiタッチを15台導入した。
「機能的でデザイン性にも優れるプランメカ社のユニットはとても気に入っています。とくにユニットは一番身近な機器なので妥協したくなかったのです。そして、13台をフライングタイプにしてあります。衛生面でのこだわりと、チェア前方からの導入がスムーズだからです」と本城先生。フライングアームをアシスタント側に回すことで前からの患者導入で邪魔にならず、治療前のカウンセリングも対面で行える。
消毒・滅菌コーナーを1階と2階に設け、各フロアにクラスB滅菌器バキュクレーブ31B+を導入していることからも衛生面でのこだわりを感じる。
包括的な治療がすべてここで行える
城彩会歯科ガーデンクリニックにはCAD/CAMも行える技工室があり、技工物はすべて院内ラボで行う。このように完璧な設備と環境を整えたのは、すべて患者さんのためである。移転まではマンションでの目立たない場所にも関わらず多くの患者さんに来ていただいた。いつかは路面のゆったりした診療所で地域の患者さんに貢献したいと、理事長は考えてこられた。
「どのようなケースでも口腔内全体の包括的治療がここで行えます。入院設備こそありませんが、私たちのイメージでは病院だと考えています。理事長がここまでの基礎を築いてくれたので、これからは私たち若い者がソフトウエアをさらに充実させて患者さんのお役に立ちたいとスタッフ一同決意を新たに診療に取り組んでいるところです」と本城先生。
中庭の植栽が育つように、城彩会歯科ガーデンクリニックもさらなる発展を続けている。移転して、建物だけでなくその診療スタイルも開業医院のランドマークとなる予感がある。