これまでもこれからも歯科医療の先駆者として
日本最古の現存する歯科医院が仙台の「懸田歯科医院」。
今年で開設114年になるその歴史は、つねに時代の先駆者として歯科臨床の世界をリードしてきた。
先の東日本大震災でも、長い間培ってきた歴史の重みは揺るぎないものだった。
114年の歴史と伝統
仙台駅から徒歩5分。広瀬通と愛宕上杉通の交差点近くに4階建ての「懸田歯科医院」がある。明治33年(1900年)開設、114年の歴史は日本で現存している唯一の歯科医院である。院長は5代目の懸田明弘先生。つねに前を向いて、患者さんのための歯科医療に研鑽されている。
「実は、インプラント治療を日本で最初に取り入れたのも私どもで、先代が昭和31年に導入しました。昭和38年にインプラント・嵌植義歯研究所を設立して以来、安全で確かなインプラント治療の普及に努めています」と懸田先生。
すべては患者さんのために、歯科医院として導入できる最新の技術・設備は積極的に取り入れてきた。だから、1世紀以上もの歴史を築けてきた。
クリーンで安心の設計
診療室は2階と4階。1階は待合室と受付と技工室で3階がセミナールームになっている。2階はガラスで仕切られた個室診療室が6ブース並ぶ。中央に作業用のセンターテーブルを配置し、滅菌・消毒室もガラス仕切りで患者さんに見えるように設計されている。ユニットはプランメカGコンパクトiである。「感染予防を第一に考えました。特に万全な消毒態勢が患者さんにも分かるように、専任スタッフを配した滅菌・消毒室もあえて見えるように設計しています」。
4階はオペ・特診室になっている。落ち着いた広い空間に日本導入第1号のプランメカ・ソブリンが設置されている。
「2010年に導入しました。術者に合わせたプログラムに変更できるのでソブリンと一緒に成長している気がします。また、ユニット本体に水タンクがあるので給水が止まっても蒸留水などを補給できるので安心です」。オペ中にインフラがストップしても手術が無事に終えられるように屋上には震災前から自家発電機も準備されている。
2F大きな窓に面した診療ブースは完全個室設計。ガラスで仕切られているので明るく開放感がある。夜には間接照明が室内を優しい印象に変えてくれる。
「人と向き合う“ 歯道”を追求」
患者さんの喜びは処置の後であると言う。「処置して噛めて患者さんが満足すること。そのためにも診断の責任をしっかり持つことが大切です。患者さんに治療選択肢を提示して選んでもらうことがベストのように思われますが、ある意味それは責任回避です。プロとしての診断があってこそベストな治療が提供できます」。
歯科医療は人と向き合う仕事だ。そのなかで人の命と関わり、人生にも関わってゆく。それだけに、これからは歯の道“歯道”を勉強していきたいと懸田明弘先生は語られる。100年以上の歴史の中で歯科の極みに近づいた言葉のように感じられた。
4階特診室に設置されているソブリン。日本導入第1号のフラッグシップモデルである。患者さんの導入、オペのしやすさなど非常に満足されている。