谷口歯科医院

谷口歯科医院
北海道札幌市白石区

東京・札幌、そして世界へ。臨床家としてつねに先を考える

先代の急逝に伴い診療所を全面改装してリニューアルオープンした「谷口歯科医院」。
新たな若い院長の臨床にかける情熱は、無限の可能性を感じる。

 

医療や科学は進歩することが必要

 

 歯科用レーザーを応用したデブライドメントや骨再生などで歯科界で高く評価され、インプラント療法にも数多くの実績を残している谷口陽一先生。東京医科歯科大学大学院歯周病学分野の非常勤講師であり、東京で勤務されていた診療所に毎月2回通いながらも、2015年7月には札幌市で先代の診療所を全面改装してリニューアルオープンした。
 「いずれ戻ろうと考えていましたが、父が急逝したので時期を早めて戻りました。補綴中心の診療所でしたが、私が帰りいきなり歯周病の診療所に切り替わったという感じです。でも、以前からの患者さんも通っていただけるし、歯周病専門医という事で新しい患者さんも来られて、何とか軌道に乗ってきました」と谷口先生。東京との掛け持ちで多忙にもかかわらず、先生の臨床に注ぐ情熱は注目に値する。
 「東京では質の高い治療を時間かけて提供できるのですが、それだけに満足してはならないと思っています。医療や科学は進歩することが必要で、1時間の処置が45分、さらに30分で質を落とさずにできるようにしないといけない。そのためにも、つねに “これで良いのか”を考えて診療に取り組んでいます」

インプラント治療から歯周病専門医に

 

 谷口先生は大学在学中にインプラント治療に惹かれた。しかし、インプラント周囲炎などインプラント治療のトラブルを目の当たりにするほど、歯周治療への必要性を感じて大学院では歯周病学分野へ進み歯周病専門医も取得した。
 「インプラントは素晴らしい治療です。でも、そこに至る原因の多くは歯周病が関係しています。だから、まず歯周病をしっかり管理した上で、それ以上口腔内を崩壊させないためにインプラントを選択するようにしています」
 谷口歯科医院は大きな交差点角地ビルの2階にある。オペ室はもちろんのこと、3ブースの一般診療室も個室仕様だが、各ブースには通常の出入り口とは別に扉が設けられ、すべての診療空間がひとつに繋がるようになっている。
 「保険診療で多くの患者さんを診る時には完全個室だとかえって不自由です。インプラント埋入も月に2件ほどありますが、オペ室の準備をしているとき隣りの診療室では麻酔をするなど、個室だけど移動が楽なように設計しました」
 シンプルにレイアウトされた谷口歯科医院。診療室は治療しやすいように空間を制限する建具は一切設けず、移動式キャビネットで空間の自由度を確保している。谷口先生は「あくまでも治療しやすい空間設計にこだわりました。それが患者さんのためにもなります」と語る。

新たなエビデンスを模索・挑戦し情報を発信

 

 谷口先生には大きな目標がある。それは、世界に向けて日本の歯科医療技術の高さを発信することだという。
 「各分野で日本の技術力の高さは世界も認めています。ところが、歯科では欧米から学ぶ姿勢が今も主流です。術式の多くも欧米のものがお手本とされますが、歯肉や骨の薄い日本人にはそのまま使えるわけではありません。つまり、私たちの方がより厳しい条件で治療実績を上げているのです。そんな私たちの術式を、これからはどんどん世界に情報発信していきたいと考えています」
 教科書通りを基本にステップは省略しない。確立されたエビデンスを踏まえた上で、新たなエビデンスを模索し挑戦し、情報を発信し共有していく。それは、後輩たちへのメッセージでもあると言う。
 「技術力の高さは製品開発力でも同じです。これまで多くのインプラントを使いましたがジーシーインプラントAadvaはとても優れています。過去の論文では非常に困難とされたケースでも難なく成功しているので、9月にはヨーロッパのインプラント学会で発表してくる予定です」
 東京と北海道での診療と忙しい中にあっても、常にこれまでの臨床を振り返り、ひとつ先の臨床を模索し、進歩を追求する。そんな歯科の仕事が楽しいという谷口陽一先生。今後のご活躍が非常に楽しみである。