10月11日(金)~13日(日)の3日間にわたり、名古屋国際会議場にて「第108回日本補綴歯科学会学術大会」が開催され、約1,600名の参加者がありました。 学術大会では「新しい歯科補綴のパラダイム-歯科補綴の専門性-」をメインテーマに、特別講演、メインシンポジウム、教育講演、緊急シンポジウム、技術・技工セッション、課題口演発表、口演発表、ポスター発表などが行われました。 大会長は朝日大学歯学部歯科補綴学講座の藤井輝久教授でした。 特別講演ではUniversity of North Carolina at Chapel HillのDr.David A.Feltonが「岐路に立つ米国の歯科補綴学」の演題にて、米国の歯科補綴学を専攻する学生数が減少しつつある現状とそれに対する対策について述べられました。 メインシンポジウムではテーマ「歯科補綴の専門性」に基づき、まず座長の大阪歯科大学の川添堯彬教授が基調講演をされました。その後、前出のDr.David A.Feltonが米国の歯科補綴が直面している問題とそれらに対して模索・実現している解決策について、広島大学大学院の赤川安正教授が日本歯科補綴学会の学術委員長の立場から歯科補綴の専門性に関する見解と今後の目指す方向性などについてそれぞれ述べられました。続いて、昭和大学歯学部の川和忠治教授が歯科材料の発達が補綴臨床に与えた功罪について、慶熙大學校歯科大學の崔大均先生が韓国の歯科補綴が直面している問題とその解決に取り組んでいる大韓歯科補綴学会の現状についてそれぞれ述べられました。 岩手医科大学歯学部の石橋寛二教授の追加発言の後、川添教授がシンポジストの講演内容を踏まえて「『歯科補綴の専門性』を確立するには『認定医制度』を充実させることが重要であり必要である」とまとめられました。 教育講演では名古屋大学医学部附属病院の伴信太郎教授が、演題「日本の医学教育におけるOSCEの展開」にて、今後の大学教育におけるOSCE(Objective Structured Clinical Examination=客観的臨床能力試験)の重要性について述べられました。これは知識偏重教育を改め、学生に在学中に臨床技術も十分に習得してもらうことを狙いとするもので、歯科においても2005年から共用試験として導入される予定です。 緊急シンポジウムでは「こんなに使われている義歯安定剤」をテーマに、座長の東京医科歯科大学大学院の早川巖教授が、歯科医師の手を離れたところで義歯安定剤が普及しつつある現状を踏まえて「患者まかせではなく、歯科医師の管理・指導の下に使用されるのであれば、技術ではカバーしきれない、コントロールしきれない症例において義歯安定剤は有効な材料となりうる」とまとめられました。 なお次回第109回大会は、2003年5月9日(金)・10日(土)に、東京都・品川区立総合区民会館「きゅりあん」で開催される予定です。 |