5月14日(土)・15日(日)の両日にわたり、大阪市・グランキューブ大阪(大阪国際会議場)にて「第113回日本補綴歯科学会学術大会」が開催され、2,000名を超える参加者がありました。 今回は、日本歯科補綴学会が社団法人を取得して初の学術大会で、「咬合・咀嚼が創る健康長寿」をメインテーマに、特別講演、理事長講演、シンポジウム、臨床教育研修、課題口演、ポスター発表等が行われ、たいへん盛況でした。また、新しい試みとして歯科技工士のテーブルセッション、歯科衛生士のポスター発表が行われました。 大会長は、大阪大学大学院歯学研究科の野首孝祠教授でした。 特別講演では、大阪大学大学院人間科学研究科の山本隆教授が、「おいしさと健康-咀嚼と味覚の重要性-」の演題にて、おいしさを感じるメカニズム、おいしさと脳内物質の関連等について解説され、咀嚼しておいしく味わうことはQOLの向上や健康、長生きにつながるとまとめられました。 理事長講演では、日本補綴歯科学会の赤川安正理事長が「歯科補綴の未来価値」の演題にて、社団法人になった歯科補綴学会が社会・国民に貢献していくためにどのように活動していくかについて語られました。 シンポジウムIは「歯科補綴における再生医療の方向性」のテーマにて、3人のシンポジストがそれぞれ基礎、口腔外科、補綴臨床の立場から、骨造成を中心とした補綴領域の再生医療の方向性、臨床応用への必要性について述べられました。 シンポジウムIIは日本学術会議咬合学研究連絡委員会併催の公開シンポジウムとして、「咬合・咀嚼が創る健康長寿-ライフステージを俯瞰する咬合-」をテーマに行われました。基礎医学の分野および小児歯科学会、矯正学会、補綴学会からの4人のシンポジストがそれぞれの専門分野における「咬合」について語り、ディスカッションでは「咬合」は広い領域にわたるものであり、今回のような学会合同の討論を続けていきたいとまとめられました。 シンポジウムIII「チェアサイドでの咀嚼機能検査法」は、この2年間の学術大会で発表された同テーマの口演の総決算として行われたものです。4人のシンポジストが患者の咀嚼能力を容易にかつ客観的に把握するための検査を紹介すると共に、患者への説明責任を果たすために検査法を臨床に導入していくことの必要性について語られました。 ジーシー製品については、東海支部の中村健太郎先生、加藤賢吾先生に「オクルーザーFPD-707の臨床的検討」を演題に、それぞれ「FPD-703との整合性について」「デュアルヒストグラムの咀嚼側の判定について」を副題にしたご発表をいただきました。咬合力測定システムの「オクルーザーFPD-707」は展示コーナーにて展示を行い、来会者の関心を集めました。 また、今年の4月に改正薬事法が施行されたこともあり、日本歯科材料工業協同組合から改正内容等についての発表がありました。 なお、次回大会は、10月1日(土)・2日(日)に新潟市の朱鷺メッセにて開催される予定です。大会長は、新潟大学大学院の河野正司教授です。 |