9月24日(金)・25日(土)の両日にわたり、京都府民総合交流プラザ・京都テルサにて「第44回日本歯科理工学会学術講演会」が開催され、約500名の参加登録者がありました。 今回は、シンポジウム2件、特別講演1題の他、口頭発表36題、ポスター発表100題が行われ、広範囲にわたる内容の発表でたいへん盛況でした。 大会長は、京都大学再生医科学研究所ナノ再生医工学研究センターの堤定美教授でした。 初日のシンポジウム(I)は「歯科理工学における産・官・学連携」というテーマで、理工学会副学会長・昭和大学歯学部教授の宮崎隆先生と株式会社松風取締役の西野賢貴氏を座長に行われました。 このシンポジウムは、日本の経済が停滞する中、歯科界を活性化するための産官学連携の必要性と歯科理工学の役割を提言することを目的としたものです。 「産」からは座長も兼ねた株式会社松風の西野賢貴氏が「産官学連携による歯科産業の振興 -“産”から歯科理工学への期待-」の演題にて、需要の創造のためにはイノベーションが必要であるとお話しになり、官・学への期待を語られました。 「官」からは国立医薬品食品衛生研究所療品部部長の土屋利江先生が「金属材料等の評価について」の演題にて、医療機器の有効性・安全性等の評価についての産官連携のモデルを紹介されるとともに、「いろいろな企業と臨床家を結びつけるのが自分の役割」と述べられました。 「学」からは岩手大学大学院工学研究科教授・日本トライボロジー学会の岩渕明先生が「トライボロジーから見た歯学との連携」の演題にて、トライボロジー(摩擦・摩耗・潤滑現象の解明とその応用を対象とした基盤科学技術)と歯科理工学の接点および連携の可能性について講演されました。 また、大阪大学大学院工学研究科教授で株式会社BMTハイブリッドの取締役でもある明石満先生が「交互浸漬法により得られるHApアガロース」の演題にて、インプラントの骨再生に極めて有効なHApアガロースについて説明されるとともに、産官学連携の事例としての大学発ベンチャーを立ち上げた経験を紹介されました。 2日目のシンポジウム(II)は、まさにその「歯科領域における大学発ベンチャー」をテーマに、大会長の堤定美教授を座長に行われました。2001年度に日本経済再生のために経済産業省が「大学発ベンチャー1,000社計画」を発表して以来、既に800社を超える企業が設立されています。今回は歯科大学、歯科以外の大学、ベンチャー企業から6名のシンポジストが登壇して、開発した製品(バイオ関連製品、ソフト、光触媒等)や企業の運営についての講演をされ、また、活発な質疑応答も行われました。 この他、特別講演「Technique Sensitivity - The Last Challenge in Bonding to Tooth Structure?」ではThe University of Texas Dental Branch at HoustonのJohn M. Powers教授が、各タイプのボンディング材の接着力についての試験結果を発表されました。 なお学会創立55周年を迎える次回大会は、2005年4月に東京・タワーホール船堀にて開催される予定です。大会長は、日本大学松戸歯学部の根本君也教授です。 |