10月11日(日)に、宮崎市・宮崎観光ホテルにて「第52回秋季日本歯周病学会学術大会」が、「未来を展望する歯周病治療」とのテーマにて開催され、約1,500名の参加登録者があり、たいへん盛会でした。学術大会は、特別講演2題、臨床セミナー、シンポジウム2題、認定医・専門医教育講演、歯科衛生士教育講演、ポスター発表、ランチョンセミナー3題、市民公開講座(別会場:宮崎市民プラザ)他が行われました。大会長は、九州大学大学院歯学研究院歯周疾患制御学分野の前田勝正教授でした。
特別講演1は、広島大学健康増進歯学分野の西村英紀教授を座長に、「糖尿病の合併症としての歯周病の可能性」という演題にて、愛知学院大学歯学部歯周病学教授で歯学部長の野口俊英先生がご講演されました。アメリカでは既に認知されている歯周病が糖尿病の合併症の一つであるという概念を、疫学調査、動物実験等を通して国内でも学会として明らかにしていきたいと述べられました。
特別講演2は、大会長の前田勝正教授を座長に、「最近の歯周治療の傾向」という演題にて、福岡市ご開業で九州大学歯学部臨床教授の船越栄次先生がご講演されました。形成外科療法、人工骨・自家骨移植術、GTR法、エムドゲインという歯周組織再生療法の流れから、最近のサイトカイン療法、オーダーメイド療法に至るまでお話しされ、ご自身の診療室において高い治療成績を得ている最新の歯周再生治療について豊富な症例を元にご紹介されました。
シンポジウムI は、九州歯科大学感染分子生物学分野教授で歯学部長の西原達次先生をモデレーターに、「炎症反応の視点に立って歯周病細菌を再考する」とのテーマにて開催されました。鹿児島大学大学院口腔微生物学分野の小松澤均教授が「歯周病原因菌の病原性因子について」、熊本大学大学院分子病理学分野の今村隆寿准教授が「ジンジパインからみた歯周病と全身疾患」、九州大学病院歯周病科の藤瀬修講師が「歯周炎患者の臨床的所見からみた歯周病細菌」、鹿児島大学医学部・歯学部附属病院歯周病科の町頭三保講師が「歯周病原細菌の新規測定試薬の開発」との演題にて、それぞれご講演されました。
シンポジウムII は、新潟大学歯学部口腔生命福祉学科の山崎和久教授をモデレーターに、「歯周組織の免疫応答から考える全身への影響」とのテーマにて開催されました。九州大学大学院口腔機能分子科学分野の中西博教授が「抹消炎症により惹起される脳炎症の老化による増悪鍵を握る脳の免疫担当細胞ミクログリアの動態について」、大阪大学大学院歯学研究科の竹立匡秀特任研究員が「アデノシンによる骨代謝制御」、長崎大学大学院歯周病学分野の鵜飼孝助教が「歯周病と動脈硬化?歯槽骨吸収とアテローム性動脈硬化の関連?」、新潟大学超域研究機構の多部田康一准教授が「歯周炎と動脈硬化性疾患?関連メカニズムの解析?」との演題にてそれぞれご講演されました。
なお、次回大会は、2010年5月14日(金)・15(土)に盛岡市・盛岡市民文化ホール他にて岩手医科大学歯学部の國松和司教授を大会長に開催される予定です。
宮崎観光ホテル
A会場
ポスター会場(1)
ポスター会場(2)
ベストハイジニスト賞授賞式
展示会場