SDGsへの取り組み | 取り組み事例【10】

  • 製品・サービスを通じた歯科医療課題への対応
  • イノベイティブな製品・サービスを通じた歯科医療課題への対応

国内外の大学・研究機関とのコラボレーションによるイノベイティブな製品開発

国内外の大学・研究機関とのコラボレーションによるイノベイティブな製品開発

 

イノベイティブな製品を作るために、最先端のテクノロジーを世界各国の大学・研究機関と共有し共同で製品開発を行っています。

 


新しい予防の形を創造したイノベイティブな製品「MIペースト」

数々の賞を受賞し世界的に著名なメルボルン大学のエリック・レイノルズ(Eric C. Reynolds)教授は、かつて牛乳やチーズを多く摂取する方の歯には酸蝕歯(酸によって溶けた歯)や摩耗が少ないという文献から、なぜ乳製品が酸蝕歯と摩耗を防ぐのに役立つのか興味を持ちました。
一方、唾液には、食後、酸性に傾いた口腔内をもとの状態に戻す働きがあり、う蝕や酸蝕歯の予防に役立っています。この唾液に含まれるタンパク質と、牛乳のタンパク質の遺伝子配列が非常に似ていることに着眼し、研究を進め、牛乳由来成分のCPP-ACP(リカルデント)を開発しました。このCPP-ACPは「歯に良い効能(緩衝作用、中和作用など)」があることが分かっています。

 

ジーシーではいち早く、レイノルズ教授と共同研究を行い、オーストラリア政府のバックアップを受けてその特性を活かす製品開発に取り組みました。そしてCPP-ACPを含む製品として「GC Tooth Mousse(日本製品名:MIペースト)」を開発しました。MIペーストはペースト状の予防製品で、そのペーストを歯に塗布するというこれまでにない予防製品として発売されました。また、MIペーストをできるだけ効果的に口の中に留めるため、フレーバーにもこだわり、定番のミント、ストロベリー、メロンフレーバー以外にもバニラ、ヨーグルトなど個性的なフレーバーもラインナップしました。2004年に海外で先行発売され、間もなく日本でも発売されて、2021年時点でも未だに販売本数を増やしているロングセラー製品となっています。

MIペースト

 

また、レイノルズ教授、ジーシーおよびリカルデントガムのモンデリーズ社は、両社の製品で20億豪ドルの世界売上を達成したレガシー製品として評価され「CRA Enduring Industry-Research Collaboration Award」を2022年にキャンベラの国会議事堂にて受賞しております。

https://collaborateinnovate.com.au/awards/

CRA Enduring Industry-Research Collaboration Award

 

なお、FDI(世界歯科医師連盟)では予防歯科を促進することが持続可能な口腔保健を実現できるとして声明を出しております。ジーシーでは1982年に発売した歯ブラシ「プロスペックシリーズ(歯ブラシ、歯間ブラシなど)」を皮切りに、2004年に「GC Tooth Mousse(MIペースト)」を発売し、2005年以降はルシェロシリーズ(歯ブラシ・歯間ブラシ・歯みがきペーストなど)を発売するなど、早くから予防歯科に力を入れ口腔保健の向上に寄与する活動を通じて、持続可能な環境の実現に貢献しております。今後も、予防歯科の普及に努めてまいります。

 

 

産・学・官で連携、国内初の歯科インプラント適用が認められた骨補塡材「サイトランス® グラニュール」

インプラントを顎に埋め込むには、インプラントを固定するための骨が必要です。そして固定するための十分な骨の量が必要ですが、人によってはその骨の量が不足している場合があります。その骨を補填してくれるのが骨補填材です。しかしこれまでは、国内で正式に薬事認可された歯科インプラント適用の骨補填材はありませんでした。
人の骨は体内で適切な期間で新しい骨に置き換わりますが、九州大学の石川邦夫教授と徳島大学の宮本洋二教授は、人の骨と同じ成分である炭酸アパタイトに注目し研究を進めました。顆粒やブロック状の炭酸アパタイトはこれまで化学合成は不可能でしたが石川邦夫教授がこれに成功したことをきっかけに、日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けたプロジェクトが始動し、ジーシーにて骨補填材の製品化を行うこととなりました。

骨造成イメージ図

 

サイトランス® グラニュール

ジーシーでは実際の歯科治療で使えるよう安定的に量産ができる技術を試行錯誤の末に確立し、九州大学、徳島大学、東京医科歯科大学にて治験を行い、その安全性と有効性が認められ、国内初の歯科インプラント適用が認められた骨補塡材として薬事承認に至りました。

 

また、この産学官の取り組みは内閣府が進めるオープンイノベーション(企業、大学、研究機関、行政機関など様々な主体が、自前主義でなく、外部との連携により、研究開発能力、技術的知見、人的資源、資金等を組み合わせ、効率的・効果的にイノベーションを創出する取り組み)の考え方とも合致し、内閣府が主催する第1回 日本オープンイノベーション大賞において、プロジェクト名『骨置換型人工骨「サイトランス グラニュール」の開発と実用化』として「選考委員会特別賞」に選ばれました。他にも「令和2年度文部科学大臣表彰 科学技術賞」、「第46回(令和3年度)井上春成賞」、「歯科材料・器械イノベーション賞」を受賞しており高い評価をいただいております。

第1回 日本オープンイノベーション大賞受賞