62才、女性。35年間下顎総義歯で悩んでいた。上顎は天然歯。

図1
alt
図2-1
alt
図2-2
alt
上部構造製作前に硬質レジンでテンポラリーを製作。顎位の安定のため、約3ヶ月間、週に1回調整を行う。
最終補綴物は低溶陶材を用いて、さらに精密な咬合を得るために、横ネジ止めの物とした。


図3
alt
補綴前のパノラマ
 

 


1-1
通法により、咬合紙と咬合調整用ワックスで調整を行った後採得したデンタルプレスケールのデータ。この時点で、患者さんは違和感を訴えることはなかった。
  1-2
アイランドのデータをプリントアウトして実際の上部構造の上にあてがい、左右のバランス、接触点の面積、個々の接触点の咬合力を調整した後のデータ。
咬合力バランス
alt
右側の咬合力が左側より強く、重心も右に偏位している。
alt
咬合力バランス
alt
重心はほぼ中央にあり、左右の咬合力はグリーンの棒グラフで示されるようにほぼ左右対称といえる。
バランスデータ
alt
咬合力の左右の比は24.7%と75.3%であった。
→
バランスデータ
alt
咬合力の左右の比は53.7%と46.3%であった。
アイランド
alt
明らかに右側の接触面積は左側より広く、それぞれの咬合力も強いことがわかる。
→
アイランド
alt
接触点の数はそれぞれ6点で、接触点の面積は0.5mm2以下。各点での咬合力にも、特別強いところは見あたらない。

1-1と1-2の咬合力バランスを比較すると接触点の面積は3.8から3.4に減ってはいるが、むしろ咬合力は230.7Nからわずかではあるが230.8Nに増加している。患者さんは「さっきのでも十分と思ったが、より違和感のない噛み合わせになった」と話されていた。