成長における個人差について

子どもの成長発育には個人差があります。歯の生える時期にも大きな差があるため、口の中の環境も異なり、口の機能の獲得時期にも個人差があります。

 日本小児歯科学会で実施した日本人の子どもの歯の生える時期に関する全国調査の結果からも、子ども歯の生える時期には大きな個人差があることがわかります(図16 乳歯列、図17 乳歯萌出開始時期、図18 永久歯列、図19 永久歯萌出開始時期)。

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このように乳歯、永久歯とも子どもの口の中に生えてくる時期には一定の幅があり、歯の生えている本数や生え代わる時期によって、口の機能の発達にも個人差があって当然であることを理解してください。離乳の開始や進め方についても単に生まれてからの月齢で決めるのではなく、全身の成長や歯の生えている状態など、子どもの発達に合わせて判断することが大切です。離乳を早く進めることは、決して子どもの機能の発達にはプラスにはなりません。お子さんの成長発育に寄り添って進めてあげてください。

 学童期において永久歯の生える時期にも個人差があります。前歯の生え代わりの時期には、それまで咬み切れていた食品は嚙みづらくなります。また、乳歯の奥歯の生え代わる10〜12歳ころには一時的に食品をすりつぶす歯の本数が減ることがあります。そのような時期には、食材の大きさを時期によって調整するような配慮も大切です。

 

 

著者

木本 茂成 先生

神奈川歯科大学歯学部 小児歯科学講座 教授