麗らかな春の陽気に包まれて、4月はスタートの季節です。桃、八重桜、シバザクラ、アヤメ、チューリップ、フジの花。色とりどりの花が、新入社員や新入生を祝福するように一斉に咲いています。
とはいえ、ここしばらく、新入社員は緊張と気疲れで大変でしょう。新人の皆さんは先輩に教わりながら、これから知識や知恵を生み出す種子。今の熱意と生き生きした好奇心を大切にしてください。
さて、「春眠暁を覚えず」といいますが、目覚めには日の出の時刻が大きく関係します。例えば、東京で毎朝6時半に起きる人なら、3月初めは日の出が 6時頃だったのに、朝に光を浴びる時間が早い方にどんどん前倒しになって、4月中旬にはすっかり日が昇っています。これらの変化に体が対応しきれず、「軽 い時差ぼけ」のような状態になるため、新入社員でなくても、なんとなく眠い、だるい、となりやすいのです。
この他にも、春に眠くなるのは以下のような理由があります。
(1)日の出の時間が早くなって、朝、光を浴びる時間が前倒しになる。
(2)最低気温が6度から15度ぐらいの時期が特に眠気を感じる。
(3)夜の気温が20度前後が熟睡しやすい。
(4)暖かくなって、活動量が増える
それに加えて、日本人は世界の中でも、居眠りをよくしてしまう国民なのだそうです。その理由は、日本人は白米や精製した小麦粉を使ったパンをよく食べるから。
暖かくなって新陳代謝が活発になると、ビタミンB1を必要とします。しばらく白米や菓子パンを止め、白米に麦や胚芽を加えるだけでも、目覚まし効果がありそうです。
近年、日本人は白米を中心に食べるようになったため、玄米を精製する段階でビタミン、ミネラルなど、人間の健康に必要な栄養分がそぎ落とされてしまいま す。日本人の大好きな食パンや菓子パンも、精製した小麦粉や砂糖をふんだんに使っていて、白米以上にビタミンB1が摂りにくい状況です。
未精製の穀類を食べることは世界的な食事療法の指針であるハーバード大学健康食事ピラミッドでも推奨されています。そういえば、明治天皇も脚気を患いまし たが、「脚気の原因は米食にあるべし」として白米食をやめて麦飯を採用したため、1888年以降は脚気にならなかったという逸話があります。
なお、不眠治療は起床時間を一定にするところから始めるのが鉄則なので、普段、睡眠不足や不眠症で悩んでいる人も、この機会に早起きを始めると成功する確率が高いです。
二十四節気では今月5日から20日までが「清明」の候。清らかで明るい生命力が地上にみなぎるこの時期は、まさに希望の春です。
コラムニスト 鈴木 百合子
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