口臭の存在は、社会生活をしていくうえで一番重要な人間同志のコミュニケーションの妨げとなります。口臭があれば相手に不快感を与え、自分は恥ずかしい思いをします。口臭があることを心理的に負担に感じると、だんだん行動が消極的になり良好な人間関係を築くことができなくなってしまう場合もあります。離島でたった1人で生活しているのならば、口臭があっても病気として意識することはないでしょう。また、動物であるならば口臭について悩むことはないでしょう。集団で社会生活を営んでいる人間だからこそ、口臭の存在が深刻な悩み、苦しみとなるのです。
私たちは、生きている限り無臭ということはなく、誰でも多少はにおいがあるものです。しかし、この生理的口臭の存在を非常に気にする人がいます。一方、お口の中が不潔で非常に強い口臭があるのに、自分のにおいには全く無頓着な人もいます。口臭は心理的にデリケートな問題なので、親しい家族といえども口臭のあることを指摘するには気配りが必要です。
これまで、口臭の有無を的確に測定できる機器はなく、口臭の診断基準や治療方針はあいまいでした。しかし、口臭研究の進歩および新しい口臭測定機器の開発によって、現在では、「口臭発生の90%以上は口腔内に原因があり、適切な処置を行うことで改善する」ことが明らかになってきています。