11月6日(木)・7日(金)の2日間にわたり、岐阜市の長良川国際会議場と岐阜ルネッサンスホテルの2カ所にて「日本歯科保存学会2003年度秋季学会(第119回)」が開催され、約1,000名の参加登録者がありました。 大会長は、朝日大学歯学部口腔機能修復学講座歯科保存学分野の関根一郎教授でした。 今回の学会は、開会式での学会会長・愛知学院大学歯学部歯科保存学第二講座の中村洋教授からの、「日本歯科保存学会がこの9月に特定非営利活動法人(NPO法人)として登記を済ませたことを機に市民に対しても開かれた活動をしていきたい」とのご挨拶で幕を開け、特別講演1題、シンポジウム3題、認定医研修会1題の他、口演発表32題、ポスター発表150題、臨床セッション6題が行われました。 特別講演では、岐阜大学学長・東京大学名誉教授の黒木登志夫先生が「ヒトは何故がんになるのか。人は何故がんを研究するのか。」という演題にて講演されました。遺伝子の疾患としてのがん研究の歴史を振り返るとともに、生命科学のメカニズムとも深く関わるゲノム時代の最新のがん研究について述べられました。 シンポジウム1は保存修復に関するもので、「今後の齲蝕治療をささえる材料」のテーマにて、朝日大学歯学部教授の山本宏治先生を座長に行われました。Minimal Interventionが提唱される中、コンポジットレジンなどの齲蝕治療材料に対する期待が一層高まっていますが、5人の大学の先生から「接着がひろげる修復の可能性」「歯質にやさしい接着」「フッ化物徐放性材料の今後」「う蝕治療に果たすボンディング材の役割」「色彩からみた充填材料」の5件の課題についての報告があり、カリオロジーにおける修復材料の重要性が検証されました。 シンポジウム2は歯内療法に関するもので、「大きな病巣に対する考え方・治療法」のテーマにて日本大学松戸歯学部講師の辻本恭久先生を座長に行われました。大きな根尖病巣の治療法については研究が少なく不明な点が多い分野でしたが、今回の4件の講演「根尖病巣と根尖周囲組織-特にマラッセの上皮遺残を中心に-」「根尖病巣にかかわるフリーラジカルと治療対策」「大きな病巣に対する非外科的歯内療法」「大きな病巣の診断と外科的歯内療法」では、最近解明が進んできている研究についての基礎・臨床両面からの報告がありました。 シンポジウム3は歯周治療に関するもので、「骨縁下ポケットへの現実的対応」のテーマにて朝日大学歯学部教授の岩山幸雄先生を座長に行われ、「歯周基本治療を中心とした骨欠損部への対応」「骨補填材としてのハイドロキシアパタイトの評価」「GTR法での対応」「EMDによる歯周組織再生の臨床評価」を演題とした、開業医を含む4人の先生の講演がありました。それぞれの治療法による症例の報告、最適応例・問題点の説明に合わせ、どの方法でどのように治療を行えば患者さんに受け入れられるかといったインフォームドコンセントに関わる観点からも討論がなされ、会場からも活発な質問が出ていました。 なお次回大会は、2004年6月10日(木)・11(金)に、大会長は日本歯科大学の勝海一郎教授、会場は東京都の文京区シビックホールにて開催の予定です。 |