10月15日(金)~17日(日)の3日間にわたり、横須賀市・横須賀芸術劇場にて「第112回日本補綴歯科学会学術大会」が開催され、約1,550名の参加登録がありました。 今回は、「新しい歯科補綴のパラダイム-生体との接点を求めて-」をメインテーマに、特別講演をはじめ、シンポジウム、臨床教育研修、課題口演、ポスター発表等、広範囲にわたる内容の発表が行われ、たいへん盛況でした。 大会長は、神奈川歯科大学歯科補綴学講座の豊田實教授でした。 特別講演Iは、神奈川歯科大学内科の森實敏夫教授が「日本の常識はなぜ世界に通用しないのか?-臨床医学研究の観点から-」の演題にて、国内での臨床医学研究における現状と今後あるべき姿についてお話しされました。 特別講演II(国際セッション)は、Clinical Professor University of Southern California,School of DentistryのDr.Terry T.Tanakaが「Current Occlusion Consepts:Where Is the Science?」の演題にて、補綴治療における咬合について、アメリカでの治療の現状を踏まえ、お話しをされました。 特別講演III(研究教育研修)は、藍野大学学長の高橋清久先生が「健康な睡眠とは」の演題にて、眠りのメカニズムと生体リズムの重要性、健康な眠りを得る上で欠かすことの出来ない睡眠7ヶ条について、また科学的データを基にお話しされました。 シンポジウムIでは、「補綴実技教育の評価を考える」のテーマにて、岡山大学大学院医歯学総合研究科咬合・口腔機能再建学分野の皆木省吾教授を座長に行われました。日本大学松戸歯学部補綴学第二講座の會田雅啓教授が「クラウンブリッジについて」、九州歯科大学歯科補綴学第1講座の鱒見進一教授が「全部床義歯について」、徳島大学医学部・歯学部附属病院の河野文昭教授が「部分床義歯について」の演題にて、それぞれの科目から捕えたバラツキのない実技評価基準の検討について、トライヤルの結果と今後の課題について述べられました。 シンポジウムIIでは、「再生医療と歯科補綴学の接点」のテーマにて、新潟大学医歯学総合病院歯科総合診療部の魚島勝美助教授を座長に行われました。京都大学再生医科学研究所の田畑泰彦教授が「再生医療の実際と今後の方向性」、神奈川歯科大学高次口腔科学研究所の木下靭彦教授が「Tissue Engineeringを応用した下顎骨の再生医療」、岡山大学大学院医歯学総合研究科顎口腔機能制御学分野の窪木拓男助教授が「補綴治療における再生医療のニーズと現時点での研究動向-確実かつ質の高いインプラント治療をめざして-」と言う演題で、再生医療の実現に向けて、細胞だけではなく材料学的アプローチ(生体組織工学)がいかに重要であるか、また、組織再生誘導治療がいかに有効かを、歯科での応用の現状と今後のさらなる展開も含め実例を基にお話しされ、参加者の先生方は興味深く聴講されていました。 なお、次回大会は、平成17年5月14日(土)・15日(日)にグランキューブ大阪(大阪国際会議場)にて開催される予定です。大会長は、大阪大学大学院の野首孝祠教授です。 |