9月16日(金)?18日(日)の3日間にわたり、名古屋市・名古屋国際会議場にて「第41回 日本口腔インプラント学会・学術大会」が開催され、約4,000名の参加登録者があり、たいへん盛況でした。
今回は『インプラント医療安全の推進行動』をメインテーマに、特別講演1題、基調講演1題、教育講演2題、シンポジウム5題、ワールドサテライトセミナー、ランチョンセミナー、テーブルクリニッックやポスター発表など多彩な内容の発表が行われました。
大会長は、日本口腔インプラント学会理事 中部支部 支部長の堀田康記先生でした。
特別講演では、愛知学院大学歯学部有床義歯学講座の田中貴信先生より、「磁性アタッチメントのその後」と題してのご講演がありました。
磁性アタッチメントを日常臨床で可及的に安全かつ有効に利用するために多くの試行錯誤を重ねた結果、最も主要な成果は、適応症の拡大であり、天然歯とは根本的に異なるインプラントのみを支台とした義歯に関しても、設計・製作が容易で、義歯形態も単純化し易く、「歯に優しい」という磁性アタッチメントの特異性についてお話されました。
基調講演では、大阪歯科大学理事長・学長の公益社団法人 日本口腔インプラント学会理事長の川添堯彬先生より、今回のメインテーマである『インプラント医療安全の推進行動』と題して、これからの患者中心医療の時代において「医療安全の達成・普及」や「全国的かつ長期的な推進行動」についてのご講演がありました。
教育講演1では、大阪大学大学院歯学研究科 歯科補綴学第一教室の江草宏先生より、「歯肉のあらたな可能性 ―医療応用に有望なiPS細胞源―」と題して、歯肉由来iPS細胞の樹立およびその歯科治療への応用の可能性について、今後の課題と将来の展望について話されました。
教育講演2では、横浜市立大学附属病院 医療安全管理学の橋本廸生生先生より、「医療安全の原理と組織戦略」と題して、「安全文化」をキーワードとして、医療安全を発展的に実践できる組織の要件についてご講演がありました。
シンポジウム(1)では、医療法人伊東会伊東歯科口腔病院の伊東隆利先生を座長に、「インラント医学の社会的貢献―唇顎口蓋裂神患者に対する応用とその注意点―」をテーマとして、佐賀大学医学部歯科口腔外科学講座の山下佳雄先生より「唇顎口蓋裂治療におけるデンタルインプラントの応用」についてのご講演があり、東京医科歯科大学大学院 顎顔面補綴学講座の向山仁先生より、「口唇裂口蓋裂の補綴治療 デンタルインプラントを支持源とした治療について」と題して、ご講演がありました。
シンポジウム(2)では、九州大学大学院歯学研究院口腔機能修復学講座の松下恭之先生を座長に、「遊離端欠損におけるインプラントの適応と限界」をテーマとして、大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座(歯科補綴学第二教室)の池邉一典先生より、「下顎遊離端欠損は必ず補綴しなければならないのか??短縮歯列(SDA)と比較して?」のご講演があり、大阪歯科大学附属病院 口腔インプラント科の江藤隆徳先生より、「下顎遊離端欠損症例におけるインプラントの埋入本数と位置は?」とのご講演がありました。日本歯科大学新潟生命歯学部 歯科補綴第2講座の渡邉文彦先生より「インプラント補綴することで残存歯は助けられるか?」と題してご講演がありました。
シンポジウム(3)では、福岡歯科大学咬合修復学講座口腔インプラント学分野の松浦朗先生を座長として、「CAD/CAMガイデッドサージェリーの適応と信頼性」をテーマに、東京医科歯科大学 歯学部附属病院 インプラント外来の春日井昇平先生より、「サージカルガイドは両刃の剣」と題して、ご講演があり、白鳥歯科インプラントセンター、九州インプラント研究会の白鳥清人先生より、「ガイデッドサージェリーの有用性と安全性」と題してご講演がありました。
シンポジウム(4)では、九州大学大学院歯学研究院 口腔機能修復学講座 インプラント・義歯補綴学分野の古谷野潔先生を座長として、「骨移植材の現状と我が国における臨床応用の倫理的問題点」をテーマとして、岩手医科大学歯学部 歯科補綴学講座口腔インプラント学分野の鬼原英道先生より、「現在使用することができる骨移植材とその文献的考察」と題して、また昭和大学歯学部歯科理工学教室の宮崎隆先生より、「骨移植材は必要かー基礎的な立場から」と題して、ご講演があり、佐賀大学医学部歯科口腔外科学講座の後藤昌昭先生より、「臨床研究に関わる倫理問題」と題して、ご講演がありました。
シンポジウム(5)では、大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座 歯科補綴学 第二教室の前田芳信先生を座長に、「インプラント治療の安全推進行動:安全・安心のためのチェックリスト」をテーマとして、九州大学大学院歯学研究院 口腔機能修復学講座 インプラント・義歯補綴学分野の古谷野潔先生より、症例選択(治療計画時)におけるチェックリスト」と題して、また東京歯科大学 口腔インプラント学講座の矢島安朝先生より、「インプラント外来処置チェックリスト」と題して、ご講演があり、昭和大学歯学部高齢者歯科の佐藤裕二先生より、「補綴処置について(設計、製作、メンテナンス)」と題して、ご講演があり、貴和会銀座歯科診療所の松井徳雄先生より「インプラント治療の永続性をめざして?歯周治療の観点から?」と題してご講演がありました。
ランチョンセミナーでは、東京ステーション歯科クリニックの小川洋一先生より、「オッセオインテグレーションの獲得と維持のために今考えなければならないこと ?歯科医師として歯科衛生士として?」と題して、ご講演いただきました。
なお、次回学術大会は、大阪国際会議場にて、2012年9月21日(金)?23日(日)に開催される予定です。大会長は、公益社団法人 日本口腔インプラント学会理事、近畿・北陸支部 支部長の江藤隆徳先生です。
名古屋国際会議場
講演会場
ポスター会場
ランチョンセミナー
展示コーナー
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