「第55回秋季日本歯周病学会学術大会」が開催されました

  9月22日(土)・23日(日)の両日にわたり、つくば市・つくば国際会議場にて「歯周治療のリスクマネジメント ―その時あなたならどうしますか―」をテーマに、「第55回秋季日本歯周病学会学術大会」が開催され、約2,000名の参加登録者があり、たいへん盛会でした。
  学術大会は、特別講演3題、シンポジウム2題、認定医・専門医教育講演、歯科衛生士教育講演、市民公開講座、ランチョンセミナー6題、一般演題ポスター68題、臨床(認定医・専門医)ポスター45題、歯科衛生士症例ポスター15題、企業展示が行われました。
  大会長は、日本大学歯学部保存学教室歯周病学講座教授の伊藤公一先生でした。

  特別講演1では、日本大学歯学部保存学教室歯周病学講座教授の伊藤公一先生を座長に、「新たな視点から歯周病原菌に対するリスクマネージメントを考える ―歯周病研究における嫌気性菌代謝産物の意義―」との演題にて、日本大学歯学部細菌学講座教授、総合歯学研究所生体防御部門の落合邦康先生がご講演されました。短鎖脂肪酸が歯周組織および微生物に及ぼす影響についてや酪酸の歯周病と全身疾患への関連性についてなど、口腔と全身との関わりについて、さまざまなエビデンスと共にお話しされました。

  特別講演2では、新潟大学大学院医歯学総合研究科 歯周診断・再建学分野教授の吉江弘正先生を座長に、「糖尿病と炎症―歯周病を含めて」との演題にて、東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授の門脇 孝先生がご講演されました。糖尿病は1型と2型があり、我が国では2型が増加して、歯周病を含めたさまざまな病態形成に重要な役割を持っていることなど、糖尿病・メタボリックシンドロームの病態を、歯周病を含めた慢性炎症を中心にお話しされました。

  特別講演3では、徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 歯周歯内治療学分野教授の永田俊彦先生を座長に、「喫煙者のリスクマネジメント」との演題にて、奈良女子大学保健管理センター教授、京都大学医学部附属病院禁煙外来の高橋裕子先生がご講演されました。喫煙者に難しいとされてきた禁煙が、薬物療法の効果的な治療(ニコチン代替療法剤と飲み薬)が行えるようになったことや、それでもなお残る再喫煙・禁煙動機付けの問題について、また、歯科領域の医療者が禁煙動機付けと禁煙継続に役割を担うことが効果的であることなど、アメリカの「禁煙ガイドライン2000」の内容を踏まえてお話されました。

  シンポジウム1では、「歯周炎の再発リスクは予測できるか」とのテーマにて、岡山大学歯学部予防・発育加齢歯科学科目歯周病態学分野教授の高柴正悟先生、慶應義塾大学医学部 歯科・口腔外科学教室教授の中川種昭先生のお二人を座長に、「サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)期のリスクマネジメント」の演題にて、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科歯周病学分野教授の和泉雄一先生が、「細菌検査・抗体価検査によるSPT期再発の予知判定」の演題にて、新潟大学医歯学総合病院歯周病診療室の両角俊哉先生が、「重度歯周炎患者の臨床データベース構築とそれに基づいたリスクマネージメントの必要性」の演題にて、文教通り歯科クリニックの三辺正人先生が、それぞれ講演されました。
  また、シンポジウム2では、「インプラント治療のリスクマネジメント」とのテーマにて、日本大学松戸歯学部歯周治療学講座教授の小方頼昌先生を座長に、「インプラント治療に対するリスクマネジメント ―インプラント周囲炎の病態とインプラント実態調査結果との関連性から考える―」の演題にて、明海大学歯学部口腔生物再生医工学講座歯周病学分野准教授の辰巳順一先生が、「歯周病患者へのインプラントの応用、インプラント周囲炎を引き起こさないための術前、 術後管理(リスクマネージメント)」の演題にて、医療法人社団北欧会 弘岡歯科医院(スウェーデン デンタルセンター)の弘岡秀明先生が、「インプラント周囲炎の治療とリスクマネジメント」の演題にて、児玉歯科クリニックの児玉利朗先生が、それぞれ講演されました。

  なお、次回大会は、2013年5月31日(金)・6月1日(土)に東京にて、昭和大学歯学部歯周病学教室教授の山本松男先生を大会長に開催される予定です。

つくば国際会議場

つくば国際会議場

会場入口

会場入口


学会受付

学会受付

開会式(A会場 大ホール)

開会式(A会場 大ホール)


ポスター会場

ポスター発表

展示会場

展示会場