6月5日(木)・6日(金)の両日にわたり、新潟市・朱鷺メッセにて「日本歯科保存学会2008年春季学術大会(128回)」が開催され、約 1,200名の参加登録者があり、たいへん盛大でした。
学術大会は、特別講演、シンポジウム2題、認定研修会、ランチョン・セミナー、外国招聘者を囲むセミナー、臨床セッション、口演発表、ポスター発表が行われました。
大会長は、新潟大学大学院医歯学総合研究科口腔健康科学講座う蝕学分野の興地隆史教授でした。
特別講演では、「歯内療法後に持続する病変―原因と対処法―」と題し、大会長の興地隆史先生を座長に、イエテボリ大学名誉教授のDr.Gunnar Bergenholtzより、歯内療法後に持続する無症状の根尖病変について、その原因と臨床的な対処法についての講演がありました。
シンポジウムIでは、「?口腔バイオフィルムの感染制御戦略を考える?」と題し、新潟大学歯学部口腔生命福祉学科教授の福島正義先生を座長に、4人の先生方が講演されました。
講演1では、「バイオフィルムとは?口腔微生物学の立場から?」と題し、北海道医療大学歯学部の中澤太先生が、バイオフィルムの概念について自然界におけるバイオフィルムの定義およびデンタルプラークから口腔バイオフィルムへの概念の変遷、さらにバイオフィルムの制御戦略の考え方と最近のトピックスについて講演されました。
講演2では、「成熟バイオフィルムの制御戦略」と題し、新潟大学大学院医歯学総合研究科の竹中彰治先生が、バイオフィルムの世界的先端研究センターであるMSU‐Center for Biofilm Engineeringにおける研究内容を中心に、成熟したバイオフィルムの効果的破壊にはどのようなことが重要か、特に抗菌成分の浸透拡散性能からみたバイオフィルム制御について解説されました。
講演3では、「根尖性歯周炎の難治化とバイオフィルム―その臨床像と対策―」と題し、大阪大学大学院歯学研究科の野杁由一郎先生が、根尖孔内外に形成されたバイオフィルムの臨床における制御戦略と今後の展望について講演されました。
講演4では、「口腔ケアによる口腔バイオフィルム調節制御の臨床的意義」と題し、国立感染症研究所細菌第一部の泉福英信先生が、予防に重点を置き、病原性バイオフィルムを除去し、正常な細菌叢を維持するための制御戦略と今後の展望を臨床の視点から講演されました。
シンポジウムIIは、「先端的バイオロジーと歯科保存臨床の連携―歯科保存領域の自然免疫と臨床応用への可能性―」と題し、神奈川歯科大学教授の石井信之先生を座長に、4名の先生方が講演されました。
講演1では、「樹状細胞による癌免疫療法の開発と臨床」と題し、武蔵野大学薬学部薬物療法学研究室客員教授の岡本正人先生より、講演2では、「口腔粘膜の自然免疫」と題し、東北大学大学院歯学研究科の上原亜希子先生より、講演3では、「歯髄の自然免疫」と題し、神奈川歯科大学の武藤徳子先生より、講演4では、「歯周疾患における自然免疫機構と病態」と題し、新潟大学歯学部口腔生命福祉学科教授の山崎和久先生より、それぞれ講演がありました。
認定研修会では、「根管充填を再考する」と題し、日本歯科大学生命歯学部教授の勝海一郎先生より、根管の封鎖性に影響を及ぼす各種の原因について又、日頃の臨床のヒント等についての講演がありました。
ランチョン・セミナーでは、「Modern Endodontics」と題し、神奈川歯科大学教授の石井信之先生が、技術革新に成功した歯内療法領域のモダンアート・ラインアップとそれらを実際に使用して歯内療法の効率化と臨床成績の向上を実現したModern Endodonticsの全容に焦点を絞り、講演されました。
なお、次回大会は、2008年11月6日(木)・7日(金)に富山国際会議場にて愛知学院大学歯学部保存Iの千田影教授を大会長に開催される予定です。
朱鷺メッセ(新潟コンベンションセンター)
会場入口
A会場(スノーホール)
ポスター会場
ランチョン・セミナー
展示会場