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インプラントを長持ちさせるために!ホワイトニング治療で知っておきたい注意点

歯科医師監修

医療ホワイトニングコラム

医療ホワイトニングについて効果や
よくある質問などを全国の歯科医師・
歯科衛生士がわかりやすく解説します。

医療ホワイトニングコラムのイメージ画像 医療ホワイトニングコラムのイメージ画像

はじめに

こんにちは、私は「マロ デンタル&メディカル東京」という歯科用インプラント(以後、インプラント)治療を専門に行う歯科医院に勤める歯科衛生士です。インプラントは、むし歯や歯周病、怪我などで失った歯の代わりに金属の土台を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を取り付ける治療法です。マロ デンタル&メディカル東京は、オールオン4(All-on-4)をはじめとするインプラント治療の知識・技術を日本の歯科医療従事者に伝え、学んでいただく機会を提供することをミッションとしており、患者向けの治療だけでなく歯科医師や歯科衛生士向けのセミナーや講習会も開催しています。

インプラントは「第二の永久歯」とも呼ばれ、しっかり噛めることや自然な見た目が得られるため、インプラント治療を受けた多くの方が快適な生活を手に入れています。そして「せっかくインプラントを入れたのだから、口元をもっときれいにしたい」と、歯のホワイトニングを希望される方も少なくありません。皆さんの中にも、「歯を失ったときの治療法としてのインプラント」や「歯を白くする医療ホワイトニング」のいずれか、あるいは両方の治療を受けたことがある方がいらっしゃるのではないでしょうか。

ただし、ここで注意していただきたい点があります。インプラントに使用されている金属は、ホワイトニング剤に含まれる成分の影響で変色したり、傷んだりする可能性があり、思わぬトラブルにつながることがあるのです。

そこで今回は、インプラントを長持ちさせながら、歯のホワイトニングを受けるためのポイントについて、実際の治療例も交えながらご説明いたします。

2ホワイトニング剤がインプラントに与える影響

歯のインプラントの土台部分には「チタン」という金属が使われていることが多いです。チタンはサビにくい素材ですが、ホワイトニング剤に含まれる「過酸化水素」や「過酸化尿素」が触れると悪影響を受ける可能性があります。下の写真は、素材の異なる2種類のインプラントの金属部品(チタン合金製と純チタン製)を、過酸化水素と過酸化尿素に24時間つけたとき、どのような変化が起きるかを比較した実験を当院で行った結果です。

インプラントの部品を24時間薬液浸漬したもの

写真を見ると、どちらのインプラントの金属部品も色が変わっているのがわかります。これは、ホワイトニング剤にも含まれている成分が影響して、インプラントの金属部品に変化が生じたことを示しています。このような理由から、インプラント治療を受けた方がホワイトニング治療を受ける際は、これらの成分がインプラントの金属部分に直接触れないように配慮することが必要になります。

3インプラントを守る医療ホワイトニングの方法

歯科でインプラント治療を受けた方がホワイトニングを希望される場合、ホワイトニングの方法によって注意すべきポイントが異なります。ここでは、自宅で行う方法と歯科医院で行う方法、それぞれの注意点をご紹介します。

(1)自宅で行う「ホーム・ホワイトニング」の注意点

ホーム・ホワイトニングは、専用のマウスピースに薬剤を入れてご自宅で行う方法です。しかし、マウスピースのフィットが悪かったり、薬剤を入れすぎたりすると、薬剤が漏れてしまいインプラントの周囲や歯ぐきに付着することがあり、インプラントの変色や歯ぐきの痛みを引き起こす恐れがあります。

このようなリスクを防ぐためには、インプラントが入っている部分に薬剤が触れたり、漏れたりしないよう、マウスピースのデザインを工夫することが大切です。例えば、下の写真のマウスピースはインプラントが入っている部分(赤線の部分)を削除することで、物理的にホワイトニングの薬剤が入らない設計になっています。

ホワイトニングトレーの工夫

(2)歯科医院で行う「オフィス・ホワイトニング」の注意点

オフィス・ホワイトニングは、歯科医院で歯科医師や歯科衛生士が薬剤を歯に塗って行う方法です。この場合は、施術を行う医療従事者が、薬剤をインプラントの金属部分や歯ぐきに触れないよう配慮します。具体的には、薬剤を塗る前にインプラントの周囲や歯ぐきを専用の保護材でしっかり覆うことで、薬剤の接触を防ぐことができます。下の写真では、青い保護材でインプラントの金属部分をバリアして薬剤が侵入しないようにしています。なお、使用するホワイトニング剤によって保護材の色は異なります。

薬液をインプラントに付着させないよう、インプラント周囲をしっかりと保護する

4歯科用インプラントと医療ホワイトニングを行った患者さんの治療例

右上のはずれてしまった前歯
インプラントと天然歯の被せ物

こちらの患者さんは、右上の前歯(側切歯)の被せものが外れてしまい来院されました。前歯の治療と同時に、10年以上前にインプラントに装着した左上の側切歯の被せ物を含め、他の歯の被せ物も新しく入れ替える治療を希望されました。患者さんの望む白さで被せ物を入れ替えたところ、糸切り歯や下の前歯など、ご自身の歯(天然歯)の色が目立つようになってしまいました。

患者さんが希望した白さで被せ物をセットした直後
糸切り歯や下の前歯など、ご自身の歯
(赤い△で指した歯)の色が目立つようになった

患者さんは入れ替えた直後は、あまり気にされていなかったのですが、時間が経つにつれて気になりだしホワイトニング治療を希望されました。そこでインプラントに配慮した医療ホワイトニングを行った結果、ご自身の歯と天然歯の被せ物の色がなじみ違和感が解消されました。現在も定期的にメンテナンスで通院されており、きれいな口元を維持されています。

医療ホワイトニング後

5歯科医院で医療ホワイトニングを受けることの大切さ

最近では、歯科医院以外でもホワイトニングを受けられる場所が増えてきました。しかし、そうした施設には歯科医療の専門知識を持つスタッフが常駐していないことも多く、いたとしてもインプラントとホワイトニング剤の関係を十分に理解しているかどうかは不明です。

もしあなたがインプラント治療を受けていて、歯を白くすることも検討されている場合は、歯科医師による専門的な診断と管理のもとでホワイトニングを行うことがとても重要です。ご興味を持たれた際は、まずはインプラント治療を受けた歯科医院や、定期的にメンテナンスを受けている歯科医師・歯科衛生士に相談してみてください。

インプラントもホワイトニングも、正しく行えば、あなたの笑顔をもっと輝かせてくれるはずです。

  • 岡本 陽子 先生

    マロ デンタル&メディカル東京

    歯科衛生士

    岡本 陽子先生

  • 太陽歯科衛生士専門学校卒業

    日本口腔インプラント学会 インプラント専門歯科衛生士

    日本歯科麻酔学会 認定歯科衛生士