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前歯人工歯の破折原因として、排列位置の設定ミス、咬合調整不足、患者さんの食生活上の不注意及び義歯清掃時の落下などが考えられる。この症例はこれらの原因とは別なようである。
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破折部を拡大観察してみるとエナメル層とデンチン層の境界部からはがれるように破折している。力の問題もまったくないとは言えないが、それ以前の人工歯製造工程上のミスに起因しているように思われる。この人工歯もジーシー製品ではない。
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修理手順として、まずは汚染されている破折面とその周辺をバーで切削して新鮮面を露出させる。その後、50μmのアルミナスでサンドブラスト処理を行う。
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リペアーボンドIIを容器に1、2滴ほど移し入れ、筆で破折部とその周辺にできるだけ薄く塗布する。その後、レジンを築盛する前に光重合器ラボライトLV-IIで1分間重合させて活性化をはかる。
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人工歯の色調に調和した光重合型硬質レジン・アクシスを選択し、インスツルメントでよく圧接しながら形態修正量を見込んで築盛する。
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形態修正、研磨完成。境界部はほとんどわからず、修理する以前の状態に回復できたように思われる。術後4ヵ月の経過しか観察していないが今のところまったく問題はないようである。