従来、歯冠色修復というとポーセレンという選択肢しかないのが実状であった。しかしポーセレン修復物は、その強度ゆえ対合歯に過度の摩耗を起こしたり、修復歯それ自体に咬合性外傷を引き起こすなどの難点が認められ、決して理想的な修復材ではなかった。
また最近、患者さんのニーズが前歯部のみならず臼歯部においても、機能性はもちろん審美性に至るまでかなり高いレベルで要求されるようになってきた。キャスタブルセラミックスもそうした臨床現場での思いを少しでも反映しようと登場したものだ。しかし、強度という点では弱く、特に臼歯部では十分期待に答えられるまでには至っていない。
今求められているのは、生体に硬すぎず、機能的にも咬合圧に耐えうる強度を有した歯冠色修復材料ということになろう。
その後これらの点を改良すべく高分子化合物のハイブリッド型化が進んだ。さて今回GC社により開発されたMFRハイブリッド超硬質レジン「グラディア」は、これまでの様々な問題点をクリアーしているように思えるので、ここに臨床例を提示して報告したい。
顎関節症の原因としては、咬合異常のほか、ブラキシズム、クレンチングなどの異常習癖や、精神的ストレスなどがあげられ、年々その患者数は増加
著者は日ごろから、10歳の時の治療は10歳のための治療ではなく、よりよい80歳になるために10歳の時に何をすべきかと考えて治療に当たっている。保存・補綴・口腔外科・歯周・矯正のそれぞれの歯科治療も経時的に考察すべき事柄である。
近年、形態と機能の相互関係が注目されてきている。機能が正しく働いて、外力が正しく作用すれば生体はバランスを保ち、形態も正しくその形を維持し、外力に応じて生体は変化をする。咀嚼を含めた生体のバランスが良いものは無駄がなく、安定して、美しい形態を得て、かつ維持しているのは自然界の摂理である。
昨今、歯科領域において金属アレルギーに対する関心が高まってきている。従来歯科用金属として使用されている金属は通常、生体にとって無為害性、あるいはごく軽微な低為害性とされてきた。しかし、口腔内に装着されている一部の金属製補綴修復物は、唾液や食塊など苛酷な口腔内状況によって腐食性変化を生じ、その金属成分が溶出しアレルギー等の為害作用を及ぼすことがある。その対策のひとつとして筆者は、常温では金属表面に強固な不動態被膜を形成するため極めて耐食性が良く、生体適合性に優れている純チタン(T-アロイH GC社製)を使用して鋳造床を製作しているが、残留たわみが大きいことから特にクラスプの設計、製作には注意が必要である。しかし今回GC社からCo-Cr合金を上回る機械的性質を持ち、為害作用のないTi-6Al-7Nbチタン合金、商品名『T-アロイタフ』が発売された。
従来より行われてきた歯周治療における外科療法は、歯周ポケットを除去する目的で行う切除療法と、組織の再生を目的とした組織誘導療法に大きく分けられる。しかしどちらの歯周外科療法とも、歯周組織を元と同じ状態に回復することはできない。
特に重度の歯周疾患に罹患し、歯周ポケットが骨縁下におよんでいる症例では、フラップ手術を行い、骨切除や骨整形などにより支持組織を減少させて歯周ポケットをなくすか、またはルートプレーニングを行い、線維性結合を伴わない長い上皮性付着での治癒を期待するしかなかった。
そこで失われた歯周支持組織の付着を再生させるという、まったく新しい概念から生まれたのが、GTR法(組織再生誘導法)である。GTR法は、フラップ手術後に歯根膜細胞の増殖スピードより早い上皮細胞、歯肉結合組織由来細胞の増殖をバリヤー膜で遮断し、歯根膜組織を誘導し、新付着を形成させる方法である。